そして天使が舞い降りた

2月19日に入院。
妊婦友達ユキエちゃんは、丁度一週間前に無事(でもないが)女の子を出産。
私と入れ替わるように退院してしまう。
ユキエちゃんのお産、タイヘンだったようだ。もちろん、陣痛が長いのは仕方がない。しかし、その晩は出産ラッシュだったらしく、その時が来ても、ユキエちゃんの所へは先生、看護婦、助産婦さん、誰も来てくれず、立ち会う予定のないお母さんまで分娩室に入り、いきむ彼女を助けたそうだ。そしてそのまま出産に立ち会ったそうな。幸せなお祖母ちゃん。

私の出産を待ちわびる私の祖母や叔母も上京してきた。
20日、病院のロビーで叔母や祖母と話していると、母親学級のお友達がやって来た。陣痛が始まっているらしい。

21日、午後3時前。手術室に入る。
裸にされてストレッチャーの上に乗せられる。
TVで見るような、丸い大きなライトの下へ。
麻酔。動かないでと言われるが、動いてしまう。
尿道へ管を通す。痛い!声に出す。
先生がメスを持つ。エエ、もう始めるの?まだ、麻酔効いてないよ。
お腹をナイフでサッと切るような痛み。痛い!大声になる。
その時、酸素マスクのような物を口に当てられる。
突然、意識がなくなった。

ガヤガヤ、ザワザワ、している所で自分の名前を呼ばれ意識が戻る。
年輩の看護婦さんが「元気な男の子でしたよ」と言うのを聞き
また再び意識がなくなる。

次は静かな病室。目を開けると足元の方に椅子に腰掛けた主人がいた。
「ご苦労サン」ねぎらいの言葉。
それから、私がまだ赤ちゃんを見ていないと言うと、
新生児室で寝ている赤ちゃんを撮ったビデオを見せてくれる。
頭はモウロウとしてるが、まん丸した私の赤ちゃんは可愛い。
間もなく意識がなくなる。
その晩は麻酔のせいで、はっきり覚醒することはなかった。
夜中に看護婦さんがナプキンを替えてくれるのは解るが、まるで夢の中の出来事。

朝方、検温に来た看護婦さんが、私がまだ赤ちゃんと対面していないと知ると、丁度、沐浴が済んだトコよと連れてきてくれた。
ビデオで見るより当然可愛い。ホカホカしている。寝てるの?起きてるの?(今でも思い出すと涙が出てくる。)
看護婦さん、寝ている私のパジャマの胸をはだけ、オッパイを出すと、赤ちゃんにくわえさせる。初めて赤ちゃんにオッパイを吸われる感触。想像していたより力強い。
産まれてきてくれて、ありがとう。胸がいっぱい。

赤ちゃんは連れて行ってしまわれ、私は再び寝る。

午前中の回診の後、見慣れぬ先生が2人入ってくる。
小児科の先生。
赤ちゃんが朝、熱を出したので、検査の為、NICUに連れて行くという。
麻酔の影響で、まだ頭がはっきりしない私。ただ、パニくるだけ。
午後、面会時間と共にパパさん登場。赤ちゃんの熱の件を話す。
とりあえずパパさんがNICUへ赤ちゃんの様子を見にへ行く。
もう、熱はなく、検査でも異常はないが、しばらくNICUで様子を見ることになる。
私は点滴が取れるまでNICUへは行けない。赤ちゃんに申し訳なく、自分を責め、涙が出てくる。


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